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さぁ、お遍路へ行こう。

第五回 寺~寺が長い遍路道 (37)岩本寺~(39)延光寺

東京にお住まいの関本拓司さんが四国八十八ヶ所の歩き遍路の体験を紀行文としてまとめられました。様々な体験の中で、率直に感じた想いを書き綴っています。

[23]薬王寺~[24]最御崎寺の間が80キロ

[36]青龍寺~[37]岩本寺の間が65キロ

[37]岩本寺~[38]金剛福寺の間が90キロ

[38]金剛福寺~[39]延光寺の間が55キロ

以上のように寺~寺へが長く、途中の町や自然の景観を楽しみながら歩いた。また、寺に辿り着いた時は、何とも荘厳な気持ちにさせてくれたことだ。

1.土佐の旧遍路道

土佐~宇佐の塚地遍路道、須崎~中土佐の焼坂遍路道、中土佐~窪川のそえみみず遍路道、峰の上~市野瀬の市野瀬遍路道、佐賀~白浜の熊井隧道、浮鞭~田野浦の入りの松原、大岐海岸の砂浜遍路道、足摺岬の西側中の浜、土佐清水への遍路道等古道歩きを楽しめた。全行程1,200キロの内、土の道は2割程度のようだ。

2.高知の遍路宿

足摺岬の青岬にある民宿青岬は、芝生が綺麗にはられ、植木が芸術的にカットされ別荘に来た外観だ。今迄の宿の中で一番のお気に入りの遍路宿で、非の打ち所がない民宿だった。女将、大将二人の応対は優しく温かかった。女将の筆で注意書きや標語が掲げられ、早いチェックインにも快く対応してくれた。洗濯は無料で、料理はオリジナルなイカの姿煮、サバ寿司等心がこもっていた。龍馬パスポート参加店で、ゆずサワーが無料、生ビールもあった。

部屋は見晴らしのいい16畳(二人宿泊)で、洗面所、トイレ、風呂、布団も清潔だった。そして料金もリーズナブルでコストパフォーマンスの高い宿だった。さらにメッセージ付きのおにぎり弁当(3個)もお接待で頂いた。

3.高知への追っかけ

東京の船友とその友人が四国ドライブ中に、中村に向かって歩いていた私をコンビニでつかまえてくれた。同じ民宿を紹介し、いつもは道の駅で車の中で寝ていたようだが、中村では、民宿中村に泊まることになった。

居酒屋での二次会に案内しようと思っていたが、宿で出された料理が、天然鮎、川海老唐揚げ、青さ天ぷら、カツオのタタキ、そして栗焼酎ダバダ火振も用意しておいてくれ、地元料理が全部出てきたので、二次会へ行く必要がなくなった。

前日、雨の中、佐田沈下橋へ車で行ったが、さすがに濁流の上を車で通らず、歩いて通った。雨が降らなければ見られない濁流の音や、霞んだ風景を楽しめた。スケッチできず残念だった。

 

足摺岬へは、広島の船友が高知の先祖の墓参りの後、追っかけて頂いた。民宿青岬の近くの公園の東屋で雨宿りし、アジサイをスケッチできるチャンスを探していたが、1時間たっても雨は止まず竹内さんが車で到着し、東屋での再会となった。38番札所金剛福寺ヘー緒に参拝し、足摺岬の遊歩道を歩いた。同行二人のお守りと納め札を友人3人に差し上げ、無事の帰宅を祈願した。

 

4.お遍路との出会い

カナダモントリオール出身のお遍路と中村から大岐浜へ行く途中に出会つた。後ろから追いついた彼は、「こんにちは」と挨拶し、キャンディを2つどうかと私に差し出し、フレンドリーな関係を作った。普通は歩くペースも違い、ここでお別れだが、彼とは緑があった。

直ぐ先に1.6キロの長いトンネルがあり、マスク、ライトをもっていないなら貨してあげようと声を掛けたら、同行二人した。

トンネルを抜けると休憩所があり、彼に朝友人からもらったお菓子をプレゼントしたら、一層心が開かれ、一緒にうどんランチを取ることになった。 Facebook仲問にもなり、一緒に撮った写認を送信した。彼がうどんの料金を支払ってくれるという思いがけないこともあり、有り雖くお接待を受けた。その後、互いの宿まで同行し、ナビを併用したリードに感謝して別れた。

彼とは、やはり縁があり、38番金剛福寺からの打ち戻しの帰り道に彼と遭遇できた。遍路宿の弁当の内、彼と会ったらプレゼントしようと食べずに残しておいたバナナ、ジュース、飴を彼にお接待した。See you again.

5.高知でのお接待

お接待は思いがけない時や場所で、また思いがけない物を頂<ことが多い。国道を離れた側道を歩いていると、お遍路さん接待所の看板が急に目に入り、入っていくと、古民家の庭先が開放され、テーブルと椅子が置いてあった。ご主人が「どうぞ」と声掛けをして頂いたので入りやすかった。

今からコーヒー豆を挽いてコーヒーを出して頂けるとのこと。更にお饅頭とせんべいのお菓子も頂いた。ご主人と話すと、東京の町田に住んでいたが、ご夫婦で遍路をしていた時、コーヒーを飲みたいと何度も思ったが飲めなかったので、お遍路さんへ美味しいコーヒーを提供したいと思い、古民家を借りてお遍路さん接待所を開いているとのこと。

全国色々な所からみえるお遍路さんと話をするのが楽しいようで、道案内や旅館の案内もして頂いた。

 

また、人家のほとんどない三原村で、お遍路さん接待所にも遭遇した。6年前大阪から移住してきた方で、古民家を借り、庭先に遍路小屋を建て、カップ麺、コーヒー、お菓子、冷たいもの等好きなものが頂けた。私は、久しぶりにカップ焼きそばを作り頂いた。 

 

宿毛の平田で、沿道に綺麗なアジサイを見つけ、スケッチをしたいと思い、描き始めたら、側の家からおじさんが出てきて、「暑いやろ、これ」とアイスキャンデーを差し出された。恐縮し、暑い中でのアイスキャンデーは美味しく感謝した。お陰で、いいスケッチを描けた。

アイスキャンデーと言えば、27番神峯寺の近くの食堂でうどんを食べ、出ようとしたところ、「お遍路さん」と声を掛けられ、アイスキャンデーを差し出されたこともあった。

 

雨の中、雨宿りした神社のお堂でおにぎりの昼食を食べていたら、前の家からお盆にお茶とお菓子を出前して頂いた。トイレもお借りし恐縮した。

国道に沿つて歩いていると、カフェの駐車場にパラソル付きの椅子とテーブルに冷水ポットが置かれ、「自由に飲んで休んで下さい」との案内板が掛けられていた。また、建設現場のトイレをお遍路さん自由に使用して下さいと提供された。

 

毎日のようにお接待を頂いている。宿では、洗濯機を無料で使用させて頂いたたり、弁当、バナナを持たせて頂いた。お店では、うどんを食べたら、パンとジュースを提供された。大福を1つ貿おうとしたら、2つ頂いた。ホテルでは、お遍路プランが。

お寺では、甘茶、お菓子、塩、お守りを。おもてなしステーションでは、ジュースとキャンディ、お茶ペットボトルを。街のスタンドには文旦が。

へんろ小屋には栄養ドリンクが。郵便局ではティッシュペーパーを。そして他のお遍路や友人からお菓子を頂いた。

私も、宿でもらったパン、バナナ、ジュース、お菓子を他のお遍路へ分けてあげたり、スタンドで買った晩柑を道を教えてくれたサーファーヘ差し上げたり、お接待をした。

6.遍路道で出会った生き物

遍路道を歩いていると、鳩、蝶、トンボ、沢蟹等が私の前を飛んだり、歩いたりして。誘導してくれているような気がした。この他、白鷲、トンビ、スズメ、ツバメ、鴨、鯉、フナ、亀、メダカ、蛾、蜘蛛、蜂、トカゲ、ヘビ、カタツムリ、ムカデ、雨蛙等と出会い、蛍まで観れた。

7.遍路道で出会った木々

樹齢500年~1000年の樹木に出会い、気が溢れていて、触るとその気が伝わってきた。

徳島では大麻比古神社の楠、極楽寺の長命杉、藤井寺の藤の古木、浄蓮庵の杉老大木、常楽寺のイチイの古木、恩山寺のびらん木等の木々と出会えた。高知では、金剛福寺の椿の並木道は素晴らしかった。

8.高知での修行の道場

高知は、寺と寺が離れ数も少なく、いつも海が側にあり、高い空の下、自然の雄大さを感じつつ、400キロを歩いた。ひとたび雨が降ると土砂降りであり、普段静かな四万十川は濁流となり、自然の脅威に接した。また、高知県の人は、そのダイナミックな自然の下で暮らしているせいか、気持ちも大らかに感じた。

自然の中の微力な自分を感じ、自力を知り、とらわれずに生きる自由が心地よく感じられてきた。

 

愛媛は菩提の道場で迷いからの脱却だ。

四国八十八ヶ所 紀行文 ~歩き遍路96日間の旅~

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