町のドクターに聞く!医療の現場から
新型コロナウイルスが蔓延している中、蔓延防止の切り札であるワクチン接種について、特別コラムを谷先生より寄稿していただきました。

2021年8月13日現在、愛媛県内では新型コロナウイルス感染者が再び急増しております。感染防止と、万が一感染しても重症にならないための切り札として、新型コロナウイルスのワクチン接種が進められております。
※新型コロナウイルスワクチン接種の対象者は順次拡大される予定です。
メディアやネットにはワクチンに関するさまざまな情報が出回っていますが、すべてが完全に正しい情報とは限らず、中にはいたずらに不安を煽るようなものも見られます。
今回は「たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック」の院長で、ご自身もすでに医師としてワクチンの接種を済ませている谷到(たに・いたる)先生に新型コロナウイルスのワクチンに関するコラムを寄稿していただきました。
ワクチンについて気になっている方は、ぜひ本コラムをお読みください。

まずは、ワクチンとはどのようなものなのかについてお話します。
ワクチンは、ウイルスの毒性を無くしたものを体に入れて、抗体が作り出されることを目的にしたものです。しかし、一言で「ワクチン」といっても実はさまざまな種類があり、大きくは3つに分類することができます。
生ワクチン
生ワクチンは、病原体を弱めたワクチンです。
毒性を弱めて病原性をなくしたウイルスや細菌を原材料としています。
・代表例:BCG、麻疹(はしか)、風疹、おたふく風邪など
不活化ワクチン
不活化ワクチンは、感染力を弱めたワクチンです。
感染する能力を失わせたウイルスや細菌を原材料としています。
・代表例:インフルエンザ、日本脳炎など
遺伝子ワクチン
遺伝子ワクチンは、他の2つとは異なり、ウイルスそのものは体内に入れず「遺伝子情報」のみを体に入れるワクチンです。mRNAワクチンやウイルスベクターワクチンなどがあります。
そして、今回の新型コロナウイルス用ワクチンとして日本で確保している、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ各社によるワクチンは、この遺伝子ワクチンに分類されます。
ウイルスの抗原の中の「mRNA」だけを体内に入れ、抗体を作らせることができます。
mRNAは、簡単に言うとDNAに「このようなものを作ってほしい」と伝える役割を持つもので、名前についている「m」は、メッセンジャーの略です。

これまでのワクチンでも存在した、接種後に「かゆくなった」「痛くなった」といった症状は、昔から医学的には「副反応」と呼ばれていました。
副反応による接種部位の痛み、赤み、腫れは、どのワクチンにも存在します。
私は医療従事者向けの優先接種により、新型コロナウイルス用ワクチンの接種もすでに済ませています。その経験から、どのような副反応があったかお話します。
1回目は「接種部痛」が、接種後から24時間程度ありました。
2回目は「関節痛・悪寒・発熱・倦怠感」が出現しました。発熱は24時間程度で消失、倦怠感も48時間ほどで消失しました。
◆発熱について
ワクチン接種後の発熱は、年代によって出現率に少し差があることがわかっています。
現時点でわかっている発熱が起こる割合は以下のとおりです。
・20~40代:50%
・50~60代:38%
・70代以上:10%
若い世代の方が発熱の症状が出る割合が高く、倦怠感についても同様に若い方ほど多い傾向が見られるようです。仕事ざかりの方は、特に2回目のワクチン接種後は1日休めるようにしておいた方が良いでしょう。解熱剤、カロナール(アセトアミノフェン)を入手しておくのも良いと思います。
◆アナフィラキシーショックについて
ワクチンのデメリットとして耳にすることがある「アナフィラキシーショック」ですが、これもどのタイプのワクチンでも起こり得ることです。
また、ワクチンだけではなく、内服薬や点滴で起きることもあります。
しかし、医療や薬剤の発展等により、そうした症状が起きる確率自体がまれな割合となっています。現在だと、抗生剤点滴によるショック発症率がやや高めにありますが、ワクチンによるショック発症率はその1000分の1程度です。

「予約」という言葉で、マスコミが広告・報道したため、早く予約しないと打てないのではと考えてしまった人も多く、そのために混乱が起きてしまいました。
2021年8月現在、日本では、希望するすべての対象者の接種完了を見据え、12歳以上の人口の8割の方が2回接種できる分のワクチンを確保するべく動いております。
あとは順番に接種すればいいだけの話で、早く打ったからと言って何か変化があるわけではありません。予約の電話がつながらず心が折れてしまい「もう打たない!!」との選択をすることだけは、避けてほしいと願います。
一方で、家族がいる人は予約ができて、家族がいない人はできないなどの問題が生じているのも事実です。ある程度の期間が過ぎたら、自治体単位でワクチン希望者がいないか一軒一軒訪ねて、確認する必要があると感じています。
また、現時点で主に使用されているファイザー製ワクチンは「希釈後6時間以内に使用すること」との規定があります。キャンセルや連絡のつかない人がいた時は、たまたま道端を歩いていた人でも、市長や町長でも、誰かに打つべきだと私は思います。マスコミが騒ぐからと言って捨ててしまうのが、一番よくありません。

ワクチンを接種することで、重症化率が下がり、コロナに感染しても安心して行動できる世の中になるには、接種率が20~40%必要と言われています。
なお、ワクチンを接種しても、その日からすぐに大丈夫とはなりません。
まずは、きちんと2回接種を受けましょう。
接種後から免疫がつくまでには、1~2週間程度かかると見られていますので、行動するのはそれより後からをおすすめします。

コロナにかかったときに、重症化して命を落とすことがないようにワクチンを接種する必要があります。
しかし、ワクチンを打ったからと言ってすぐに感染が終息することはなく、ワクチンを打ったとしても、感染しそうな場所に行けば感染もすると思います。
濃厚接触者になれば検査があり、感染している場合は2週間以上の隔離生活が待っているのが現状です。感染しても差別、隔離されなくなる時代が早く来ることを切に願います。
そのためにも、皆さん一人ひとりが「自分や家族の命は自分で守るしかない」という覚悟を持ち、正しく危機を乗り越えていくことが大切だと思います。
まいぷれ新居浜編集部からのお知らせ
まいぷれ新居浜では、主に新居浜市民の方に向けた新型コロナウイルス情報やワクチン予約に関する記事を掲載しています。以下のリンクより、ぜひご覧ください。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。