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怖さと切なさ、読後も心に残り続ける短編集『ZOO』の魅力

(集英社文庫 乙一「ZOO 1」「ZOO 2」より引用)
何なんだこれは! 天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集が「1」、「2」に分かれて、ついに文庫化。
(「ZOO1」紹介文より)双子の姉妹なのになぜか姉のヨーコだけが母から虐待され――(「カザリとヨーコ」)。謎の犯人に拉致監禁された姉と弟がとった脱出のための手段とは?――(「SEVEN ROOMS」)など5編をセレクト。
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?jdcn=08746037941653000000
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=4-08-746038-X
※この記事は2026年7月の情報です。
まいぷれ編集部の隣人E。最近は本を読む時間がなかなかとれず、積読が増えています。ファンタジー、ミステリー、絵本と猫も好き。
今回紹介するのは、乙一さんの短編集『ZOO』です。
日常のすぐ隣に潜んでいそうな恐怖や、人間の悪意、孤独を描いた10編が収録されています。
1編を読み終えるまでの時間は30分前後。隙間時間にも読みやすい一方で、すっきりとしたハッピーエンドの作品は少なく、読み終えた後にも割り切れない思いや、じわじわとした怖さが残ります。
なぜ、胸が苦しくなると分かっていながら読んでしまうのか。
現実にありそうな怖さと非日常的な世界を味わいながら、「自分の暮らす世界では、このようなことが起こりませんように」と願うような気持ちで読みました。
誰かが犠牲になる物語も多いため、私は読み終えた後、登場人物たちが少しでも幸せになれる続きを自分なりに想像しています。物語が終わった後のことまで考えたくなるのも、この作品集の魅力なのかもしれません。
今回、紹介文を書くために約20年ぶりに読み返しました。
『カザリとヨーコ』『SEVEN ROOMS』『SO-far』など、子どもがつらい思いをする作品は、親になった今読むと、以前よりも苦しく感じます。年齢や立場が変わることで、同じ物語でも受け止め方が変わることに気づきました。
特に『SEVEN ROOMS』は、閉ざされた空間の中で恐怖と戦いながら、最後の選択が決して最善ではないけれど、登場人物の覚悟を感じました。
その中で、最後に収録されている『落ちる飛行機の中で』は、比較的希望を感じられる終わり方で、少しホッとしました。
怖いだけではなく、人間の弱さや優しさについても考えさせられる『ZOO』。
明るい物語よりも、読後に長く余韻が残る作品や、自分ならどうするかを考えたくなる作品が好きな方におすすめしたい一冊です。
乙一さんの作品の中でも、特にダークな面を味わえる作品集だと思います。
もう一つの魅力である「痛切ない」物語に触れたい方には、短編集『失われる物語』もおすすめです。
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