三十年も前のことです。
友人に薦めれられた本の中に『初秋』(ロバート・B・パーカー)というのがありました。
私は、伝記小説や自己啓発本的なものを読むことが多く、ハードボイルド小説は初めてでしたが、面白いと言われるので読むことにしました。
読み進めていく中で、
「いいか、自分がコントロールできない事柄についてくよくよ考えたって、なんの益にもならないんだ」
「なにか重要なことについて、例えば、お父さんがまた自分を誘拐しようとするかもしれない、といったことについて考えるときは、彼が試みるかどうかについてあれこれ考えるよりは、彼が試みた場合にどうするのがいちばんいいか、ということを考える方がいいんだ。
彼がやるかどうか、きみには判断できない、彼の考え次第だ。
きみは、彼が試みた場合にやるべきことを決める。
それはきみの考え次第だ。わかるか?」という主人公の言葉が琴線に触れ、なんと7、8年も前から引きずっていた悩みと別れることができたのでした。
心が軽くなりました。
不思議で有り難い経験でした。
このような経験は始めてのことでした。
以後、「文字で心を洗い、心のノミで顔を彫る」という伝記作家の小島直記氏も書かれていますが、いろいろなジャンルの本を読むように心掛けています。
(公務員I.W)