ジェット三郎の『映画&ドラマ&家電のちょっとウンチクよもやま話』

為替介入の真実
皆さま、こんにちは! まいぷれ編集部のジェット三郎です。
毎日のようにテレビや新聞で報道される「円安」や「為替介入」のニュース。
最近では「政府が為替介入に11兆円をつぎ込んだ」という見出しが大きく躍りましたが、皆さんはそんなニュースを目にしてどう感じましたか?
「私たちの税金が無駄遣いされている!」と不安になった方も多いのではないでしょうか。
今回は、ニュースの表面的な見出しに隠された「経済の真実」について、為替のことを全く知らない中年Aと、為替や国の財政について知り尽くした地域の知恵袋・長老Bの対話形式で分かりやすく解説していきます!
「つぎ込む」という言葉の罠
中年A
長老! 大変です! 昨今の新聞やテレビのニュース見ました?「政府が為替介入に11兆円つぎ込んでも、円安止まらず!」って大騒ぎしてます! 僕たちの血税が11兆円もドブに捨てられちゃったんですか? もう日本経済はおしまいだ~!
まあまあ、Aくん、落ち着きなさい。君もいい年なんだから、そんな新聞やテレビのセンセーショナルな見出しを鵜呑みにしてパニックになるのはおよしなさい。それこそがマスコミの思う壺だよ。「11兆円つぎ込んだ」という表現はね、文法的には決して間違ってはいないんだ。しかし、経済の実態を表す言葉としては、国民に大きな『誤解』を招く悪意のある表現と言わざるを得ないね。…
長老B
中年A
誤解? でも、政府が11兆円も使ったのは事実なんですよね?
そこが第一の罠なんだ。「つぎ込む」とか「使った」と聞くと、お財布からお金(円)が消えてなくなった、あるいは支出して失われたように聞こえるだろう? しかし、実際には日本から「円」は1円も流出していないんだよ。
長老B
中年A
えっ? どういうことですか? だって「介入」したんですよね?
為替介入というのはね、魔法のようにお金を消すことじゃない。単なる「資産の両替」なんだよ。ニュースでよく「円買い」と言うけれど、実務的には円を買うためには、手持ちの別の通貨を売らなければならない。つまり「円買い=ドル売り」であり、全く同じ行為を指している。 正確には「ドル売り・円買い介入」と言うんだ。日本政府が外貨準備金として持っている「ドル」を市場で売って、その分の「円」を受け取っている(交換している)だけなんだよ。
長老B
実は「大儲け」している日本政府
中年A
なんだ、ドルを円に両替しただけなんですか! じゃあ、11兆円が消えてなくなったわけじゃないんですね。安心しました。でも、無理に介入して損はしてないんですか?
損どころか、日本はものすごい利益を出しているんだよ。ここが、マスコミが決して報じようとしない最大のポイントだ。
長老B
中年A
利益? 介入で儲かってるんですか? まさか!
よく考えてごらん。今の政府が市場で売っている「ドル」は、いつ手に入れたものだと思う? 今じゃないことぐらい、金融や経済について、てんで疎い君だって分かるはずだが。
長老B
中年A
えーと、今じゃないっていうことは昔に為替介入で購入していたもの? ですか?
正解。かつて1ドルが100円台だったような「超円高」の時代に、政府がせっせとドルを買って(ドル安補正のための円売り・ドル買い介入をして)貯め込んでいた外貨準備金なんだ。またアメリカからの圧力で、その時代に無理やり米国債を購入させられた分も入っているはずだ。
長老B
中年A
あ……っ!! ということは!?
そう。1ドル100円の時に安く買ったドルを、今、1ドル150円以上の「円安」のタイミングで高く売っているとして計算してごらんよ。単純計算でも、1ドル売るごとに50円の利益が出る。11兆円規模の介入(ドル売り)をしたということは、とてつもない規模の「ドル売り益」が発生しているということだ。日本は損をするどころか、安く買った資産を高く売って、莫大な利益を国庫に収めているんだよ。
長老B
中年A
えええー! じゃあ、税金を無駄にするどころか、めちゃくちゃ賢い資産運用をしてるってことじゃないですか! それなのになんでマスコミは「11兆円つぎ込んだ(=大損した)」みたいに書くんですか?
メディアの構造と「偏向」の正体
中年A
マスコミがウソつくわけないし、、、訳が分かりません!
まず、マスコミがいつでも正しい情報を正しく伝えているという君のその先入観が間違っているんだ。そもそも、マスコミも、商売敵、ライバルがいて、自社の新聞や自分のところのニュースやテレビ報道を見てもらうために必死でね。ついつい、“正確さ”よりも“インパクト重視”で作られがちなんだ。当然、より国民を不安にさせたり、煽ったりする見出しが注目されがちなので、作り手として、「政府が11兆円を溶かした!」と誤読させるよう、センセーショナルなニュースにしがちなんだよ。「外貨準備金の一部を利益確定して円を得ただけ」と事実をありのままに書くと、政府批判につながらないし、ニュースとして地味だからね。
長老B
中年A
ひどい! 各新聞社や夜のニュース番組、ネットのニュースなどで、本気で日本が終わるって絶望してたのに……。これってわざとやってるんですか?
残念ながら、そういった一部の既存メディアには「政府のやることは全て失敗である」という前提に立った、左寄りな報道姿勢が染み付いていることが多い。事実を歪めてでも、国民の不安を煽る見出しをつける。これが彼らの長年のやり方なんだ。反対に「政府のやることは正しい」的な報道姿勢にしちゃうと、あの新聞は「右」だと逆批判されちゃうしな。
長老B
中年A
でも、そんなのいつかバレますよね? 最近、ネットでもテレビのニュースに文句言ってる人、すごく多い気がします。
まさにそこだよ。マスコミはよく「最近の国民は右傾化している」「ネットの極端な意見に流されている」なんて批判するが、それは全くの的外れだ。国民だってそうそうバカじゃない。今はスマートフォン一つで、SNSや海外メディアの報道を簡単に比較できる時代だ。財務省や日銀の発表する一次データだって、その気になれば誰でも自分で調べられる。情報を見抜く力(リテラシー)が格段に上がっているんだ。
長老B
中年A
たしかに! X(旧Twitter)とかYouTubeで、経済の専門家が「実は儲かってるんだよ」って解説してるのを見たことがあります。
そうだろう? 国民が右傾化しているのではなく、「事実を歪める偏ったメディアを疑い、見限っているだけ」なんだよ。国民が求めているのは、右でも左でもない。「正確で信頼できる報道」ただそれだけなんだ。
長老B
ジャーナリズムの基本と「正しい見出し」
中年A
じゃあ、マスコミはどうすれば信頼を取り戻せるんでしょうか?
そんなの知ったこっちゃない、と、私は思ってはいるが、まあ、私が考える“正しい報道”の条件は、実はとてもシンプルでね、データを捏造しない、あるいは意図的な切り取りをしないこと、これに尽きると思ってる。一方の意見だけでなく、複数の立場や視点を示すこと、それを国民に分かりやすく説明すること、そして判断自体は国民一人一人に委ねればいいだけの話だと思うんだけどね。
長老B
中年A
それって……ジャーナリズムの基本中の基本ですよね?
その通り。基本原則そのものだ。しかし、この基本が守られていないからこそ不信感が高まっている。 もし、この基本に従って今回の為替介入を報じるなら、本来あるべき見出しはこうなるはずだ。
長老B
中年A
全然印象が違いますね!「資産移動」って言われたら変にパニックにならないし、「損失を出していない」って知れば冷静に経済のニュースを見られます。
そうだろう? 言葉一つで、世論は大きく誘導されてしまう。だからこそ我々、国民は、センセーショナルな見出しに踊らされず、「本当はどういう仕組みなのか?」と一歩立ち止まって考えることが大切なんだよ。
長老B
中年A
はい! 今日はすごく勉強になりました。これからは「日本が11兆円つぎ込んで大損した!」って騒いでる人がいたら、僕がドヤ顔で「それ、100円で買ったドルを150円で売って大儲けしてるだけだよ!」って教えてあげます!
それはいいが、そもそも君はいい年こいて、経済についても為替についても何も知らないんだから、ちゃんと勉強して、ちゃんと理解した上で、人に教えてあげるようにしなさいよ。付け焼き刃な情報だと、すぐにボロが出ちゃうぞ。
長老B
中年A
気を付けます!
AIが急速に普及している昨今、なにが正しくて、なにが間違っているかは、国民一人ひとりが、ニセの情報に惑わさずに正しく判断することが大切だと思うよ。
長老B
いかがでしたか?「つぎ込む」というたった一言の見出しが、いかに私たちの経済への認識を歪めてしまうか、お分かりいただけたかと思います。
まいぷれ新居浜西条編集部では、これからも地域の皆さまの生活に直結する経済の疑問を、分かりやすく紐解いていきます。
ジェット三郎:愛媛県生まれ。映画・テレビ業界の片隅で裏方稼業30年。主戦場はドラマ畑だが、時々情報・報道・バラエティー番組なども手掛ける。
この記事に関するキーワード