ジェット三郎の『映画&ドラマ&家電のちょっとウンチクよもやま話』

これまでの「麻雀」のイメージ
いきなりだが、皆さんは、「麻雀」と聞いて、なにを思い浮かべるだろうか?
昭和の頃、男子大学生が安アパートで、コタツの天板をひっくり返して、タバコを吸いながら、「ロン!」「役満!」「昼飯奢れよ!」「今夜は徹マンだぞ」などとくすぶっているイメージ?
それとも、これまた昭和のサラリーマンたちが夜な夜な、駅前の雀荘に集い、これまたタバコもくもく煙らせながら安酒を煽りつつ、1万負けただ、2万勝っただ、と興奮し、職場でのウサを晴らすイメージ?
はたまた、阿佐田哲也の『麻雀放浪記』や、福本伸行の『アカギ』、『哲也-雀聖と呼ばれた男-』といった昭和・平成の麻雀名作小説や漫画に代表される「裏社会のロマン」と「イカサマ」のイメージ?
かつては、どれもが正しかった。
一言で言えば、昭和・平成時代までの「麻雀」のイメージは「暗い」「ギャンブル」「タバコ臭い」「酒もセット」、「イカサマ」などと、マイナスイメージが前面に出ていたことは否めない。
とはいえ、少なくとも昭和生まれの僕の世代までは、高校生になれば麻雀の一つぐらい覚えていなければ、友人たちとまともに会話できなかったし、サラリーマンたる者、麻雀が強い者が出世するとさえ言われていたほどである。
事実、昭和の財界には麻雀好きを自認する大物は数多く存在した。
経団連会長や政府の臨時行政調査会のトップを歴任した土光敏夫さん、日本の流通界を大きく変えた実業家のダイエー創業者中内㓛さん、旧日本陸軍の参謀を経た後、伊藤忠商事の会長を務めた瀬島龍三さん、近年でもドン・キホーテ創業者である安田隆夫さん、クレディセゾンの社長の水野克己さんら、錚々たるメンバーがインタビューや書籍などで繰り返し、「麻雀の経験はビジネス経営に不可欠である」「麻雀が弱い経営者はビジネスでも失敗する可能性が高い」「ビジネスで成功したいと思うなら麻雀を極めればいい」と異口同音に答えている。
しかし、である。
時代は変わったのだ。
「賭けない、禁煙、健全」な頭脳スポーツの頂点「Mリーグ」創設
2018年、「ギャンブル」「タバコ」といったアングラなイメージがつきものだった「麻雀」を、「将棋」や「囲碁」、はたまた急速にブレイクしはじめた「Eスポーツ」などといった他の頭脳スポーツと同様の、高度な頭脳スポーツとして定着させるべく、「Mリーグ」が発足した。
「Mリーグ」を簡潔に解説すると、プロサッカー界における「J1」、プロ野球でたとえたら「NPB」に相当する存在と言うと分かりやすいだろう。
そもそもプロ麻雀界には「日本プロ麻雀連盟」「最高位戦日本プロ麻雀協会」「日本プロ麻雀協会」「麻将連合」という主要なプロ団体が存在しており、かつては団体間の交流が少なく、トップ同士が公式戦で戦うことは滅多になかったのだが、「Mリーグ」という大舞台の誕生により、4つの麻雀組織のトッププロたちが団体の垣根を越えて集結、それぞれの団体の威信を背負ったトップオブトップのレジェンドたちが同じ卓を囲むことになった。
Mリーグが「賭けない」「禁煙」「健全」を絶対の旗印として設立したことでも、主催者たちのブランディングの主張が垣間見える。試合会場はもちろん禁煙で、クリーンな環境で高度な知的な競技が行われる。
その結果、わずか数年で、「Mリーグ」は市民権を得て、子供からお年寄りまで誰もが安心して楽しめる「マインドスポーツ」へと見事に進化を遂げたのだ。
サイバーエージェント、KADOKAWA、コナミ、セガサミー、テレビ朝日、電通、博報堂、U-NEXTなど、名だたる大企業がプロ雀士と契約し、チームを結成、選手たちはスポンサー企業のロゴが入ったユニフォームを着て、プロ野球やJリーグと同じようにチームの看板と誇りを懸けて戦うのである。
麻雀一筋の職人プロだけでなく、タレント活動と両立するスター選手も多数在籍、 特に注目を集めているのが、元乃木坂46の中田花奈さん(BEAST X所属)だ。国民的アイドルグループの元メンバーがプロ雀士となり、最高峰の舞台で戦う姿は大きな話題を呼び続けている。
他にも、現役のグラビアアイドル(佐野ひなこさんや岡田紗佳さんなど)や各界の芸能人(俳優の萩原聖人さんなど)が厳しいプロテストを突破し、実力でMリーガーの座を掴み取っている。
彼女・彼らの活躍が、これまで麻雀に触れることのなかった新しいファン層を次々と開拓していることは間違いない。
プロスポーツとしてのスケールの大きさは、その賞金にも表れている。
Mリーグの優勝賞金は、なんと5000万円(※2026-2027シーズンからは、さらに7000万円へと増額)。これまでの麻雀界では考えられなかった規格外のビッグドリームである。
ABEMA生中継はスポーツ中継そのものの臨場感で初心者でも安心解説つき
「Mリーグを楽しみたいけど、そもそもルールが分からない」という方でもご安心あれ。
ABEMAで生中継されているMリーグの試合の画面には「あと何が来たらアガれる(勝てる)のか」というグラフィックが常に表示されており、さらに、プロの実況・解説陣がスポーツ中継のように熱く分かりやすく説明してくれる。
プロ野球を観る時に、インフィールドフライのルールを知らなくてもホームランの熱狂を楽しめるが如く、サッカーのワールドカップを観る時にオフサイドの細かなルールを知らなくとも、日本代表選手のゴールシュートに熱狂できるように、Mリーグも初心者の方が直感的に楽しめる工夫が散りばめられている。
そして初心者に絶対におすすめしたいのが、「Mリーグ」の全10チーム、総勢40名の選ばれし精鋭たちの中で、誰でもいいので応援する選手(推し)を決めることである。
「ユニフォームがかっこいいから」「知っている企業がスポンサーだから」「元アイドルの選手を応援したいから」といった理由で全く問題ない。
これまでの文章で、なんとなくお察しのことと思うが、僕の推しは元乃木坂46の中田花奈選手(BEAST X)である。Mリーグに昇格して数年は、不甲斐ない負け方を続けていたが、2025-2026シーズンでは、とんでもない逆転劇や奇跡的役満を上がるなど、チームを最後まで優勝争いへと引っ張り続けてきた。彼女ならではの強運といざという時の勝負強さは応援しがいのある選手である。そもそも中田花奈選手は、アイドル時代から、TVバラエティー番組「乃木坂工事中」で時々行われる勝負ごとでも、バナナマンさんがあんぐりと口を開けて呆然とするぐらいのとんでもない強運ぶりを見せつけたり、他のメンバーたちとの「読み合戦」を制し、一人勝ちしてきた彼女にとって、「プロ雀士」へのステップアップは、すでに決められた運命だったのかもしれない。
そして「健康マージャン」である。
Mリーグが麻雀を「高度な頭脳スポーツ(エンターテインメント)」へと押し上げた一方で、行政や政治家が主導して推進しているのが「健康マージャン」だ。
「健康マージャン」は、かつての「麻雀」の持つネガティブなイメージを払拭し、今や国の福祉政策や自治体のまちづくりに欠かせないツールとして大ブームを巻き起こしている。
その背景と具体的な取り組みについて、僕ならではの独自解釈で解説する。
健康マージャンは、3つの「ない」が原則
健康マージャンは、「賭けない・飲まない・吸わない」を絶対のルールとした新しい麻雀のスタイルだ。
Mリーグの「賭けない・禁煙」に加えて、「お酒を飲まない」というルールが徹底されており、公民館、老人福祉センター、専用のカルチャー教室などで、純粋なゲームとして健全に楽しまれている。
なぜ行政や政治家が推進するのか?
近年、地方自治体の首長や、超党派の国会議員連盟などが積極的に健康マージャンを後押ししている。
その最大の理由は、高齢化社会における「最強の予防医療・コミュニティツール」として医学的・社会的な効果が期待されているからだ。
指先を動かし、常に脳をフル回転させて確率を計算し、相手の心理を読む麻雀は、脳のトレーニングとして非常に優秀である。
麻雀は必ず4人1組で行い、対局の合間に自然と会話が生まれる。
定年退職後に社会との接点が減ってしまった高齢者(特に男性)が、家から出て人と交流するための強力なきっかけになっている。
子供向けの教室も増えており、おじいちゃん・おばあちゃんと孫世代が同じテーブルで対等に遊べる数少ないツールとして重宝されている。
「健康マージャン」が国の祭典「ねんりんピック」正式種目に!
そして、「健康マージャン」が行政に認められた最大の象徴が、「ねんりんピック(全国健康福祉祭)」の正式種目になったことであろう。
ねんりんピックとは、厚生労働省などが主催する60歳以上のシニアを対象としたスポーツ・文化の国体のような祭典を指す。2007年の茨城大会から健康マージャンが正式種目として採用されて以降、その人気は爆発的に広まりつつある。
現在では、本大会に出場するために各都道府県や市区町村(川口市、川崎市、浜松市、長崎県など全国各地)で激しい予選会が開催されている。
シニア世代にとって、「自分の住む自治体の代表として全国大会に行くこと」は大きな目標と生きがいになっているのだ。
「Mリーグ」と「健康マージャン」の相乗効果で、麻雀が変わる!
「Mリーグ」が若者を中心に「観る麻雀」の熱狂を生み出しているのと同時に、「健康マージャン」はシニア層を中心に「参加する麻雀」として社会貢献を果たしている。
両者が両輪となることで、「麻雀=不健康なギャンブル」という昭和の常識は完全に過去のものとなり、誰もが胸を張って楽しめる国民的ゲームへと生まれ変わったのだ!
いかがでしたか? かつては、ダーティーなイメージが先行していた「麻雀」ですが、「Mリーグ」と「健康マージャン」の広がりが、「麻雀」そのものを生まれ変わらせているのです。
まいぷれ新居浜西条編集部では、これからも地域の皆さまの素朴な疑問や興味を持ってほしい情報を、分かりやすく紐解いていきます。
ジェット三郎:愛媛県生まれ。映画・テレビ業界の片隅で裏方稼業30年。主戦場はドラマ畑だが、時々情報・報道・バラエティー番組なども手掛ける。
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