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ジェット三郎の『映画&ドラマ&家電のちょっとウンチクよもやま話』

マイナンバーカードがもっと普及していれば、あれもこれも出来たのに!

テレビ業界で裏方30年のジェット三郎が語るよもやま話! 今回は『マイナンバーカード』についての考察です。もしもマイナンバーカードがもっとちゃんと普及していれば、新型コロナワクチンも、もっとスムーズに接種できていたはずという仮説に迫ります


コンビニで、住民票や印鑑証明書、納税証明書などが簡単に取得できるマイナンバーカード(サービス内容は市区町村ごとに異なります)

最初は僕も否定だったんです、マイナンバーカードについて 

最初は否定的だった僕

 

突然ですが、マイナンバーカード、持っていますか?

そう、あの、運転免許証大のプラスチックカードで、住所氏名、生年月日と性別、そして12桁の個人番号と顔写真が表示されているあのカードである。

 

僕は持っている。昨年、仕事の関係で作った。

 

実を言うと、作る前までは僕も否定的だった。「僕も」と書いているのは、結構、日本人の多くが、あんまりマイナンバーカードにいいイメージを持っていないんじゃないかなと思っているからである。

 

ネットで拾った「マイナンバーカード」を否定する意見のいくつかを羅列してみると、

1、国に、収入の全てを管理されてしまうのが怖い

2、「なりすまし」による犯罪被害が心配

3、個人情報の全てを国が管理することが心配

4、情報漏洩してしまったら、元も子もない

 

と、大きく、この4つ程度に集約される。

なるほどね、さもありなん。と僕は思う。マイナンバーカードを作る前の僕も、これらの不安を持っていた記憶がある。

 

だけど、この4つの否定意見、マイナンバーカードが国民全員に普及した後のメリットと比較して考えると、全然大したことないのではないかと思ってしまう。

 

マイナンバーカードが国民全員に普及した未来にもたらすであろうメリットについては、後の項で語るとして、まず、これら4つのデメリットについて、一つずつ潰していこうと思う。

 

1、国に、収入の全てを管理されてしまうのが怖い

⇒納税は国民の義務である。管理してもらうのがデフォルトである以上、こんなことを言っていると「非国民」扱いされてしまいますよ。脱税容疑で報道された芸能人が、その後、決してそれまでのような活躍ができず、消えていくのが多いのは、その見せしめなのだと僕は常々思っている。

 

2、「なりすまし」による犯罪被害が心配

⇒そうかもしれないけど、今はまだ起きていない。

 

3、個人情報の全てを国が管理することが心配

⇒実は、今の時点で、国や県や市・区などの行政は、国民の個人情報を全て管理している。ただし、「まとめて」管理はできていない。税金関係は税務署が、戸籍や住所は市や区役所が、過去の犯罪歴と運転免許は警察が、通院履歴は厚生労働省が、年金情報は日本年金機構が、それぞれ別々に情報を管理している。

 

これって、実は、かなりおかしな話なのだ。

とある会社のとある顧客情報を例にとると分かりやすい。

 

とある会社では、営業部が営業開拓した顧客の情報を持っているが、その情報は、「プライバシー保護」を理由に、経理部には共有させていない。経理部は経理部で、毎月の請求や振込についての経理情報を持っているが、これまた「プライバシー保護」を理由に、営業部への共有を拒絶している。一方で、技術部には、顧客と契約した商品の修理や改修の情報が日々上がってくるが、これまた「プライバシー保護」を理由に、その情報を営業部や経理部と共有させることをしていない。こんな会社が成立しないことはすぐにでもわかるだろう。だけど、今の日本は、こういうことなのである。異常である。

 

4、情報漏洩してしまったら、元も子もない

⇒モノは考えようだ。上に書いたように現在、個人情報は各担当部署が別々に管理しているが、毎年必ず、どこかで情報漏洩事件が起きている。市役所の職員が、知り合いに頼まれて、DV被害で引っ越しした知り合いの元妻の住所を勝手に調べて書類送検された、とかニュースになっているのを目にしたことがあるだろう。仮に今現在、10の担当部署で個人情報を管理しているとすれば、10の担当部署でそれぞれにかなりな予算をかけてセキュリティ対策を講じているはずだ。例えばそれぞれの部署で、年間1億円ずつ、セキュリティ対策費を計上していると仮定して、マイナンバーカードで全ての情報を1つにまとめた上で、かなり強いセキュリティシステムに6億円をかけることができれば、それまでと比べ6倍のより強固なセキュリティ対策を講じることができる上に、4億円の経費削減になる。

 

【マイナンバーカードの歴史】

 

マイナンバーカードを作り、国民のあらゆる情報を一元化し、便利な社会にしていこうという考え方は実はかなり昔から提唱されてきた。

 

調べてみて驚いた。一番最初に正式に政府が国民に向け提案したのはなんと、1972年(昭和47年)の第3次佐藤栄作改造内閣だという。第一次田中角栄内閣の「日本列島改造論」のまだ前の話である。

 

この頃は、「国民総背番号制」という名前だった。

このネーミングに、野党(当時の社会党)とマスコミが牙を向いた。

「国民を番号で管理するとは何事か!」

「徴兵制に利用する気か!」

当時の野党の猛反対とマスコミ各社のバッシングにより、国民たちも「そうだそうだ」と情報コントロールされてしまい、結局、「国民総背番号制」は詳しい議論をされることもないまま、尻すぼみに消えていった。

 

その後も、何度も何度も、政府は、「国民総背番号制」を、「納税者番号制度」や「共通番号制度」などと名を変えて提案しては、毎回、野党とマスコミに徹底的に否定され、消えていった。

 

少し設立目的が違うのだが、住民基本台帳ネットワークシステム(通称・住基ネット)なるものも、難産の末に誕生したけれど、これまた野党やマスコミの猛烈なる批判を浴び、数年で消滅してしまった。

 

ところが、とっても皮肉なことに、「マイナンバー制度」を日本で初めて国として承認し、制度化したのは、野党民主党内閣の第2次野田佳彦内閣だった。これもブラックジョークと言わずしてなんという。

 

先輩アメリカの実例

 

国民総背番号制は、なにも日本独自のモノではない。

 

全世界で普及しており、欧州ならば、イギリス・イタリア・ドイツ・スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・フィンランド・オランダ・フランス・アイスランドなどが。環太平洋エリアでも、アメリカ・カナダ・オーストラリアが。アジアでも、インド・韓国・中国・台湾・タイ・シンガポール・香港でもすでに導入済みである。

 

その中でも、自由の国・資本主義の国のアメリカでは「社会保障番号(Social Security Number)」という名前で9桁の番号が、アメリカ国民全員に割り振られている。これは、生まれてすぐ発行してもらえ、まさしく「ゆりかごから墓場まで」使い続ける番号である。

 

アメリカに住む子供は、小学校に上がる頃には、自分の名前を書けるようになると、次に、この9桁の社会保障番号を暗記するように親から言われるのだという。なぜなら、夏休みに親元を離れ、一人冒険するサマーキャンプに登録する際にも、この社会保障番号でエントリーするのだというから、アメリカは大したものである。

 

そんなアメリカでの出来事として、最近、この社会保障番号による大きなメリットが報道されていた。

「新型コロナウイルスワクチン接種」の接種予約と確認を、アメリカではこの社会保障番号で管理しているのだ。(正確に言うと、社会保障番号およびパスポートか運転免許証のいずれかで管理)

 

ワクチン接種が日本より進んでいるアメリカのある州では、ワクチン接種を希望する国民は、事前にネットで予約などすることなく、ぶらりと大リーグの野球場へと出向く。その日、大リーグの試合が行われており、「ワクチン接種をした方は、もれなく、無料で野球観戦できます。ついでにホットドッグも無料でプレゼント」なる、キャンペーンが行われていたりする。

 

国民は、社会保障番号カードを持参し、野球場の駐車場に設けられた特設接種会場で社会保障番号カードを提示するだけでワクチンを接種し、その後、無料のホットドッグを食べつつ、これまた無料チケットで野球観戦に興じることができる。

 

僕は、テレビのニュースでこの報道を見て、「ああ、日本でマイナンバーカードがもっと普及していたら、ワクチン接種の予約券が届かないだの、予約の電話回線がパンクして、ずーっと話し中だのといったトラブルもなかったのに」と思ってしまった。

 

そもそも、マイナンバーカードは健康保険証と合体することを見越して作られている。(2021年7月現在、マイナンバーカードの健康保険証としての使用は、稼働準備の整った医療機関と薬局のみで試験運用中。本格稼働は2021年秋以降)

将来的には「お薬手帳」的な投薬データもカードに入る予定である。

 

住民登録としての基本情報が入っているわけで、マイナンバーカードさえ100%普及していれば、日本においても、国や各地方自治体が大金をはたいて予約システムを構築する必要も、大勢の電話オペレーターを雇う必要もなく、全て、行政や病院のパソコンに接続したICカードリーダーで、マイナンバーカードの情報を読み取って、簡単に接種予約が出来たに違いない。

 

ICカードリーダーは、フェリカネットワークス(Suicaなどで採用されている非接触型カード読み取り機能)対応タイプで、一台3,000円程度だ。わずかな費用で、ワクチン接種予約システムが簡単に構築できたはずなのに、と返す返すも残念である。

マイナンバーカードがもっと普及していたら、昨年の特別定額給付金支給も簡単だった?

 

昨年、新型コロナウイルス感染症の影響による不況対策として、国民全員に10万円ずつが交付された特別定額給付金だが、閣議決定したのが2020年4月20日で、国民の大多数に配り終えたのは、地方自治体ごとに違いがあるが、一番遅かったのは、10月になったところもあったという。

 

半年もかかってしまった理由は単純である。

「行政側の事務作業が煩雑で面倒」で、

「国民(市民・区民)一人ひとりと、銀行口座の紐付けが正しいか、二重振り込みがないかなどの、チェックに時間がかかった」

からだという。

 

これがもし、マイナンバーカードがもっともっと普及したとしたら、どうだっただろう?

マイナンバーカードで紐付けされている(はずの)銀行口座に、すぐさま10万円を振り込むことが可能だったはずだ。(ちなみに、2021年7月現在、マイナンバーカードに銀行口座を紐づけはなされていない。2020年11月、政府は、紐づけを義務化する法案の国会提出を見送ったと発表した)

 

 

 

マイナンバーカード普及率を急増させる秘策

 

今現在(2021年7月)のマイナンバーカード普及率は、わずか30%を超えたあたりだという。

あれほど、「マイナンバーカードを作って、マイナポイントで電子マネーを購入したら、20,000円が25,000円に増えるよ」と宣伝し、キャンペーンしてたにもかかわらずの、なんという体たらくである。

 

でも僕には、この現在普及率30%を、一気に70%、いや80%ぐらいに急増させる秘策がある。

 

簡単な話だ。

「今年も特別定額給付金を差し上げます。今回は、マイナンバーカードを持っている人しかあげません。マイナンバーカードを持っている人は申請後1週間で10万円振り込みます。持っていない人には10万円をあげません」

と菅総理が発表するだけの話である。

 

もっとも、国民みな平等が原則なので、現実的には、そこまで強くは言えないはずで、せいぜい、「今回の特別定額給付金は、マイナンバーカードを持っている人が優先です。マイナンバーカードを持っている人は申請後1週間で10万円振り込みます。持っていない人は、昨年と同じく、書類でのやり取りになりますから半年後になります。少しでも早く10万円が欲しい人は、マイナンバーカード申し込んでね」

ぐらいの差になるだろうけど。

 

とにもかくにも、国民はこぞって、マイナンバーカードを申請するだろう。

 

国民総背番号制の先輩であるアメリカでは、実際、2020年3月に、新型コロナウイルスによる緊急経済対策のための個人給付(Economic Impact Payment)を緊急決定。国民一人あたり、大人で1,200ドル(約13万円)、子供500ドル(約5.5万円)を給付すると発表。受給資格の判定及び給付のために社会保障番号を利用、社会保障番号に紐づけしてあるクレジットカード引き落とし口座、または納税口座、年金受給銀行口座に、わずか1週間~1ヶ月というスピードで、個人給付を完了させた。

 

 

そして第2弾として、「今後、新型コロナウイルスワクチン接種も、マイナンバーカード持っている人を優先します。持っていない人はいつになるか分からないぐらい後回しになります」と発表すればいい。

 

国民は、お金と命がかかっているとなれば、こぞって申し込むはずだ。

 

どうですか、菅総理?

この案、採用しませんか?

 


ジェット三郎:愛媛県生まれ。映画・テレビ業界の片隅で裏方稼業30年。主戦場はドラマ畑だが、時々情報・報道・バラエティー番組なども手掛ける。好きなお酒は芋焼酎のロック。

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